2001年11月18日(日)京橋プラザ区民館
エヴァ・ヘスの作品の表面性
[MASC]分科会<不在の中心>美濃ちどり
表面性への視線
★深さに価値があり、浅いと軽薄という観念の否定
・19世紀末から出現
絵画に取り込まれた装飾=クリムト、モリス
※クリムトの図と地の等価な画面(表層的象徴主義)・皮膚へのこだわり
・マティスの絵における平面性、装飾性、切り絵
エヴァ・ヘス(ドイツ生まれ1936-70)
・後の世代(特にファイパー・アート)に多大な影響を与えた、ポスト・ミニマリズムの代表的アーティスト。
「ヘスは、彫刻における、すなわち形態と内容そして物質の具現化と論理における、未開拓のあらゆる領域を切り開いてみせた……そして今やヘスの信奉者は数多い。また[彼女の後継者が多いというコそのことが、ヘスの作品の純粋なオリジナリティや緊張感を実感することを難しくしているのだ。」(アーサー・ダント)・伝統的キャンバス画、彫刻の否定
・同時代のミニマリズムヘの批判
ミニマリズニの厳格性、耐久力のある工業製品と区別のつかない明確て単純な構造に対して、ヘスの作品には独特のニュアンスがあり、素材も自分で作れるもろく、耐久性に欠けるものに限定。
eg一布、ワイヤー、ファイバーグラス、ラテックス・ヨーロッパの神話的物語の否定
ヘスの作品=「何にも似ていない、ばかげたしろもの」としか見えないもの
1.三次元空間における線状の作品「宙づり」(1966)「メトロノーム的な不規則2」(1966)
2、単純な形態(方形や円筒)が反復される作品「ばかげたものは・反復することで、もっともっとおおげさになる。・・・・反復は脅迫的に感じられると思う」(ヘス)
・手作りのために、不均一でいびつ
・手工芸的な技法の採用「アクセション」(1967)
3.布状の作品:床置き
壁に掛ける
壁から床にたらす
天井から吊す「コンティンジェント(1969)
・光をわずかに透過する
・触覚的な表面(皮膚のメタファーのよう)
・表/裏の区別がない
エヴァ・ヘスの革新性
・彫刻をボリュームではなく、表面性としてとらえた。
・表面がすべてであり、すべてを語る。
・内側/外側あるいは、裏/表というヒエラルキーの否定
・光と表面の新しい関係
ファイバーグラスの皮膜は光を呼吸する(皮膚が空気を呼吸するごとく)
cf一ポリュームのあるブランクーシの作品の磨きあげられた鏡面性
・ヘスの作品が生み出す空間は、無限定で、内/外は連続しており、境界があいまい。
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