生活と文化の総合センター

 「アート農園」は、美術・工芸・デザイン・ファッションはもちろんのこと、音楽やスポーツにいたるまで、生活全般に関わる様々な活動の中から「心の栄養」という成果物を収穫し、それを糧に豊かな文化生活の提案をしていきます。
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設立趣旨書

趣旨及び申請に至るまでの経過

■アート農園 設立の背景と申請にいたるまでの経緯
 21世紀を迎え、私達は希望にみちた未来像を心に描き、新世紀を祝いました。あれから3年の月日が流れ、あの日描いた未来への展望は、いまやその輝きをまったく失い、私たちは深刻な社会的事態に直面しています。
 2001年9月11日、突如として実行されたニューヨーク世界貿易センタービルへのテロ攻撃は、私たち人類に取り返しのつかないほどの過酷な現実を突き付けました。その反作用として、まだ記憶に新しい先のアメリカ軍、イギリス軍によってイラク攻撃が仕掛けられ、世界にさらなる不安を投げかけています。この一連の変化、危機に対するわが国の対応、国際社会における苦肉の選択が、正しかったことを願わずにはいられません。

 一方、日本の社会ではとめどなく深刻さを増す経済危機に苛まれ、出口の見えない不安と焦躁の中で少子化・高齢化というもう一つの深刻な現実に晒されています。 年間3万人を超える中高年の自殺、絶えることのない悲惨な暴力犯罪、子どもが子どもを殺傷するような行き場のない荒廃した世相が日本列島の所を選ばず、いたるところで見られます。かつて地域では子どもらは大切に育てられ、生命の貴さを教えられていましたが、今や、かつての地域社会のきずなは崩壊しつつあるといっても過言ではありません。昨今の攻撃的社会の中で児童が受けたトラウマ(心的外傷)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のケアが大きな問題になっていますが、全国を震撼させるような事件が続く私たちの社会もトラウマだらけなのではないでしょうか。子どもらがこれ以上凶悪な犯罪に巻き込まれない社会、地域づくりが今、まさに求められています。
 まず、地域社会のコミュニティのあり方を見直さなければならないでしょう。私たちが抱えている様々な不安や危機意識を最小限に抑え、高齢者と子どもが お互いのコミュニケーションを深め、教え、教えられ、ともに学びながら、心を癒し、美術をとおして作ることの喜び、見ることの楽しさを体験し、またスポーツや音楽に親しみながら、豊かな精神生活を取り戻すきっかけを模索しなければならないと考えます。これはたいへん根気のいる作業になると思います。しかしその実現が今日の生き難い現代社会に大きな希望を与えてくれるのではないでしょうか。

 以上のような強い思いを抱きながらアート農園の前身であるMASC都市芸術実際会議では2001年1月より現在にいたるまで任意団体として、地域社会における美術・芸術の在り方、またその実践方法を模索しながら月1回の定例会を重ね、機関誌『MASC』、ジャパニーズアートマガジン『FACE』を刊行、また「ふれあい・美術」というテーマでデイ・ケアサービスでのワークショップを開催し、公開講座「現在・廃墟・未来」と題した講演会など多岐にわたって活動してまいりました。そして2004年4月、埼玉県内の市町村の枠を超えて、県民参加型の具体的な芸術活用プランを背景に、埼玉県のイメージの刷新、県内の産業振興の促進、地の利を生かした情報発信型の「心豊かな芸術を理解する埼玉県」のイメージが実現されることを、県行政とともに考えていきたいという思いでNPO法人設立の意志を固めました。
 私たちは芸術による創造性が今日の困難な時代を乗り切る重要な手がかりであり、活力になっていくと信じています。困難な現実をともに生き、「文化の力」、「芸術の力」を大いに発揮しながら、芸術理念がメディウムとなる自由な創造性を背景とした、総合的コミュニティゾーンとしての「アート農園」の建設を提案いたします。

■アート農園設立の目的
 少子化の影響により、児童・生徒数が減少している埼玉県及び近隣の地方自治体に、小・中学校統廃合による廃校後の校舎再活用案として、また地方自治体が保有する空き施設の活用案として、芸術理念を基本構想に置いた生涯教育(ワークショップ・システム)を実践的に展開していく、生活・文化総合センター「アート農園」を設立いたします。
 これは地方行政が他に先駆けて、少子・高齢化社会に対応する総合的コミュニティゾーンを構築するモデルケースとなる建設計画です。

 「アート農園」は様々な分野の垣根を取り除き、「文化・芸術」の重要性を注視し、メティエ・エ・クリティーク(理論と実践)を基本理念において、社会生活全般にかかわる総合的な文化研究機関として機能いたします。
 また「アート農園」は、文化・芸術を深く理解し、地域社会に積極的に貢献しようとする老若男女の人材を講師として招き、特色あるワークショップを通して、かつてなかった創造的で豊かな地域社会の建設を実現することを目的とするものであります。さらに「アート農園」は、従来の専門分野を活性化し、広義の「アート」解釈をフルに活用し、それらの果たす役割を総合的に研究し、実践してまいります。これは芸術のもつ多様な方向牲を基盤にして、現代社会を研究し、ともに生きる高齢者から子どもたちにいたる全ての人々に教養・芸術・スポーツを通して門戸を開いていく機関となります。

 「アート農園」では、美術・工芸・デザイン・ファッションはもちろんのこと、音楽やスポーツにいたるまで、生活全般に関わる様々な活動の中から「心の栄養」という成果物を収穫し、それを糧に豊かな文化生活を提案したいと考えているのです。

 また、「アート農園」では今日の欧米との関係のみならず、いち早く欧米化することによって、多くの問題を抱えてきたわが国の「文化・芸術」をもう一度精査しなおし、アジア諸国との文化的交流を重視しながら、アーティスト・イン・レジデンス事業を通して、文化情報発信源として新たな友好関係を築いていきたいと考えています。
 私たちは今日この時代に、「生きることの意味」を探り、多くの県民が「生きがい」を見出せるような開かれた場が実現されることを強く希求いたします。

■アート農園COAC現代芸術研究所概要
 アート農園COAC現代芸術研究所<CENTER OF ARTIST COMMUNICATIONS>(2006年4月に正式発足)は「アート農園」が運営する芸術研究機関です。芸術総体を多角的な視点から研究し、美術・芸術における様々なコンテンツを精査し、アート農園の活動の方向性を提言する役割を担うとともに、新たなソフト開発および具体的な事業計画を提案することを目的として設置されます。
 また、MASC都市芸術実際会議を包括し、美術・芸術における勉強会を運営し、芸術の総合研究と芸術の実務化を推進していくための人材を育成していきます。MASCは具体的な実践活動を展開し、アート農園COAC現代芸術研究所をサポートしていきます。

《アート農園COAC現代芸術研究所が目指す主な事業内容》
1.アーティスト・イン・レジデンス事業の企画・運営。
2.ワークショップ事業の企画・運営。
3.芸術におけるコンテンツを企画制作し、ビジネス化していく事業。
4.パブリックアートのコンサルティングおよびコーディネーション。
5.アートシンポジウムの企画コンサルティング。
6.新しいアート教育システムのソフト開発と実施。
7.「アート農園」のコンセプトにあった企画展を実施するためのギャラリー創設と運営。
8.展覧会のソフト開発と実施、及びコンサルティング。
9.アートグッズなど、美術関連商品の開発およびコンサルティング。
10.出版業務一切/機関誌『ARTFIELD−芸術の宇宙誌』の発行(年2回)書籍の発行など。 その他あらゆる文化・生活・芸術分野における事業の可能性を探ります。
                                        以上
                                                      平成 16年6月27日
特定非営利活動法人アート農園(United Art Plantation)